最初は設計を志しましたが、
学ぶうちに
「教科書ってあってるのかな?
本物が何かもわからないなら
正しい図面なんて描けない。
現場から始めよう、そうだ大工だ!」
となったわけです。
約20年前といったら
建築業界が低迷している時。
高等技専を出て
修業先は地元の工務店でした。
棟数は少なくても住宅を請け負い、
じっくり丁寧に仕事をしていく。
プレカットに頼らず、
木を見て墨付け手刻みをする会社。
同期達がハウスメーカーに勤めて、
バンバン仕事をこなしていくのを
見てモヤモヤしたり、
あまりの極貧生活に
先行きが不安になったり。
でも今となればそれが良かったです。
しっかり基礎から修業できたことで、
骨組みを見る力
応用力や細かい納まり
刃物の使い方
段取りに至るまで
身に付けることができました。
何より
「仕事をこなす」
ではなく
「仕事に向き合う」
が深く深く染み付きました。
よく
「無理だって。そこまでやらなくても
いいんじゃない?」
と言われることがあります。
決めるのはその人じゃない。
決めてかかれば無理になるもの。
自分達が納得して
より良くを追求した果てに
いいものができていくものだ
と思います。
抜きどころなんて無いのです。
それは
見えなくなってしまうところほど
そうかもしれません。
笑いたかったら笑えばいい。
ずっと残るものだからこそ...。
職人としての楽しさであり、
怖さでもあります。
例えば、
自分達がいなくなったその先に
手がけた住宅を
壊したり直したりするとき、
職人が見て
こんな事やってた奴がいたんだな
って感動を与えられたら。
常にそれくらいの気持ちで
向き合っています。
「慢心は敵だ。」
専門学校の設計製図の先生が
常々発していた言葉。
職人の様な設計製図の先生だった。
先生は好きじゃなかったけど、
この言葉はすごく好き。
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